近代新聞テキスト化事業とは

【よくある質問とその回答】

D.今でまでは、近代新聞の中の記事をどのように探し出していたのですか?
これまでは、上記に記載した図書館や大学所蔵のマイクロフィルムをマイクロフィルムリーダーという閲読機(複写機能のある場合も有り)にかけて、1紙面づつフィルムを送り、表題を目で追って、必要な記事を探すしかありませんでした。フィルムは新聞の発行年月日順に編集されていますから、探したい記事の発生日付が事前にわかっていればそれほど苦労は無いのですが、漠然と明治の終わり頃の、ある会社に関する記事を探したいなどといったケースでは、かなりのコマ数のフィルムを1コマづつ送って、1紙面ごとに見えにくい画面を読んでいかなければならないのです。これ以外に、記事の見出し索引を使って探すという方法もあります。静岡県史編纂事業の中で作成された索引はおそらく一般にも利用可能だと思います。しかしそれはあくまで索引にしかすぎませんから、索引のタイトルや抄録(抄録がついているかどうか不明ですが)に無い事項あるいはそこから類推できない(記事の中の)名前や地名は探し出すことが出来ません。特定の研究テーマを追っている近代史研究者にとっては、この索引でも十分なのかも知れませんが、地域に起きた些細な出来事の中に、大きな歴史の中で日々を生きる人たちの生活の様子や意識を見たい、感じたい、あるいは今の視点からは歴史(研究者)に取り上げられることの無い個人に係わる事柄を記事の中に探したい、といった私共一般の者の要望に対しては、索引は決して有効な手段にはなり得ません。結果として、敢えて探すとすれば冒頭で触れたように膨大なマイクロフィルムから一コマづつ記事を読み取って探すしかないのです。近代期新聞が非常に興味深く、面白いという事実。また面白いだけではなく、小学生や中学生に、大きな歴史の流れの中で地域の人々がどのように暮らしていたかを教える、真の地域史の勉強に好適な教材となるであろうことは、実に多くの人に知られているにも係わらず、実際には研究者や社史編纂などで記事を探さざるを得ないといったやむを得ない理由を持った方以外には、なかなか記事を活用しようとする人が出てこないというのは、以上見たように必要な記事の探し出しに大きな苦労があるからなのだと思います。静岡県民の宝、しいては日本の宝と言うべきこの近代期新聞を、苦労無しに誰でも何処でも簡単に探して読むことのできる方法が今必要とされているということです。今回私どもの事業で行う、記事内容を一定の基準で取捨選択することなく、全文をテキストデータ化するという試みは、以上のように、この宝とも言える近代期新聞の大きなボリュームを、自由語検索という武器を使って世に出すための基礎作業であるのです。



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